新築であっても中古であっても投資用の不動産を購入したその日から、所有している物件の経年劣化とそれに伴う資産価値の下落、そして家賃の低下が始まります。また築年数が経過するにつれて、減価償却できる期間も少なくなっていきます。減価償却とは物件が築年数を経るにつれて物件自体の価値が下がっていくという考えから、その下がっていく価値を金額に置き換えて経費に計上できるというものです。減価償却の期間を延ばすことはできませんが、物件の価値の低下を緩やかにするためには、修繕やリフォームが不可欠です。修繕やリフォームには適切な時期があり、その時期を逃してしまうと建物の劣化の速度を速めてしまう可能性もあります。また、リフォームするより建て替えや売却を行ったほうがより多くの利益を得ることができる場合もあります。ここでは30年、40年、50年と長期にわたり投資用不動産を所有し続ける場合に、気を付けるべきポイントについて解説していきます。

適切な時期に大規模修繕やリフォームを行うことで建物の価値が長持ちする

中古で購入した物件は新築に近い築浅の物件であればともかく、そのままにしておけば入居者が自然と付くという訳ではありません。中古で購入した場合は設備に故障があったり、内装が古かったりするため入居希望者に人気がなく入居者が付きづらい状況にあるかもしれないためです。そのような状況を改善するためには、修繕や居室・共有部分のリフォームを行うことが必要になり、その修繕やリフォームは時に大規模なものになることも考えられます。また物件はこまめなメンテナンスを行っていても、10年から15年の間に大規模修繕が必要です。この大規模修繕を怠ってしまうと、建物の寿命が短くなってしまうので適切な時期に行うようにしましょう。また空室の壁紙の貼り替えや水回りの交換などのリフォームを行うことで、室内の設備や見た目がグレードアップし入居者が付きやすくなります。壁紙の寿命は6年程度とされていますが、入居者が入れ替わるごとに貼り替えるのが一般的です。この時にアクセントクロスを使うなどして室内のデザインを最新のものにすることで、入居者の「この部屋に住みたい」という気持ちを高めることができます。このように設備と見た目、どちらもメンテナンスを行うことで入居者が付きやすくなります。

リノベーションや建て替えも視野に入れる

30年以上経過した木造物件の場合、人間に例えると「老年期」に当たるといえます。鉄筋造の物件の場合には、50年程度が「老年期」の入り口と考えればよいでしょう。しかし同じ老年期に入った物件でも、まだまだ綺麗で入居者に人気の物件もあれば老朽化が進み空室が目立つ物件もあります。老朽化が進み空室が目立つようになった物件に再び入居者を呼び込むためには、リノベーションまたは建て替えを行う必要があります。ほとんどの不動産投資ローンは建物の減価償却期間を建物の寿命と考え、その期間までしか融資を行ってくれません。そのため木造物件で30年程度、鉄筋造で50年経っていれば借入金額の返済は終わっているケースがほとんどです。このような理由から資金的には余裕があるため、リノベーションを行うことも資金的にそう難しいことではないでしょう。しかし建物の構造や老朽化の程度によっては、リノベーションが難しい又はあまり効果が期待できない場合もあります。そのような場合には、建て替えも視野に入れておくと良いでしょう。

売却して売却益を手にすることで次の物件の購入資金に充てることもできる

大規模修繕やリフォーム、リノベーションを施してもその後の家賃収入でこれらの作業にかかった費用を回収することが難しいと判断した場合には、物件自体を売却してその売却益を次の物件の購入費用に充てるという方法もあります。売却の方法には物件をそのまま売却する方法と、建物を解体し更地にしてから売却する方法の2つがあります。このうち建物を解体して更地にする方法には、現在の入居者の立ち退きという大きなハードルがあります。しかし高額での売却が見込めるのは更地での売却であるため、立ち退き料や解体費用をかけても更地にして売却するほうが、金銭的なメリットが大きいといえます。40年、50年と年月が経つにつれて物件周辺の環境が変わり、今後所有している物件が立地的に入居者に人気が出ないと判断した場合には、売却して次の収益物件を購入したほうが高い利益を得やすいと言えます。

まとめ

ここまで、老朽化した物件をどのように扱うべきかを解説してきました。大規模修繕とリフォーム、リノベーション、売却の3つの方法があることがお分かりいただけたと思います。どの方法をとるかは、その後一番大きな利益が取れるかどうかということを考えて決めなければなりません。そのためそれぞれの方法の専門家に見積もりを依頼し、どれだけのコストがかかるのか、それによって今後どの程度の利益を得ることができるのかをしっかりとシミュレーションしてから、どの方法を採用するか決定するようにしましょう。