金融機関から不動産投資ローンの借り入れを行い、月々の家賃収入の中からローン返済などの必要経費を差し引いた差額分が利益となるのが、一般的な不動産投資です。この不動産投資ローンの返済の方法には、借り入れを行うときに決めた金額を毎月返済していくものと、借入金額の総額の一部を返済期間中に一部まとめて返済する繰り上げ返済があります。ここでは、その繰り上げ返済について詳しく解説していきます。

繰り上げ返済とは 

繰り上げ返済とは、金融機関から借り入れを行う際に決めた返済期間中に借入総額の元金の一部をまとめて返済する方法のことを言います。この繰り上げ返済には、メリットもありますがデメリットもあります。

繰り上げ返済のメリット

繰り上げ返済には、以下のようなメリットがあります。

・支払総額が低くなる

繰り上げ返済を行った金額は、すべて元金の返済に充てられます。そのため元金に掛かる利息の金額が低くなり、最終的な支払総額を安く抑えることができます。

・返済期間の短縮または毎月の返済金額の軽減ができる

繰り上げ返済を行うことで、総返済額が安くなることは前述しました。総返済額が安くなることで、不動産投資ローンの毎月の返済額はほぼそのままにしながら返済期間を短縮したり、返済期間はそのままにしながら毎月の返済額を低くしたりすることが可能になります。5,000万円を2パーセントの金利で35年返済の契約で借り入れた場合、10年後に1,000万円の繰り上げ返済を行うと、27年3か月に返済期間を短縮することができ、また返済期間を35年のままにする場合には毎月の支払金額を165,631円から123,145円に軽減することができます。

・金利上昇リスクを抑えることができる

変動金利で不動産投資ローンの借り入れを行った場合、将来金利が上昇し毎月の支払額が高額になる「金利上昇リスク」が発生します。金利は元金に掛かるものであるため、繰り上げ返済を行い元金を減らしておくことで、金利が上昇しても毎月の支払額の上昇を低く抑えることができます。例えば5,000万円を2パーセントの金利で借り入れているケースで15年目に金利が3パーセントに上昇した場合、繰り上げ返済を行っていないと毎月の返済額は165,631円から181,580円に上昇してしまいます。しかし不動産投資ローンの借り入れから10年目に1,000万円の繰り上げ返済を行っていた場合には毎月の返済額は135,114円となます。このように繰り上げ返済を行い借り入れている元金を減らしておくことで、金利上昇リスクを低く抑えることができます。

・次の投資用不動産を購入しやすくなる

繰り上げ返済を行い不動産投資ローンの返済を早く終わらせることができた場合、その物件を担保としてさらに不動産投資用ローンの借り入れを行い、次の収益物件の購入を行うことができます。収益物件の数が増えると不動産投資のさまざまなリスクを分散することができるため、安定した収益を得ることができる不動産投資を行うことができます。

繰り上げ返済のデメリット

繰り上げ返済には、以下のようなデメリットがあります。

・自己資金の減少
繰り上げ返済を行うときには、まとまった金額が必要になります。しかし、繰り上げ返済を行った後にも手元に十分な自己資金を残しておく必要があります。その理由は繰り上げ返済で自己資金が乏しくなってしまうと、収益物件に急な修繕が必要になった場合などに対応することが難しくなってしまうためです。このような事態を防ぐために、繰り上げ返済を行った後も手元には十分な資金が残るようにしておきましょう。

・手数料が必要になることもある
不動産投資ローンの返済期間中に繰り上げ返済を行うと、金融機関によっては手数料が必要になることがあります。この場合の手数料は一回繰り上げ返済を行うごとに、数千円から数万円に設定されている場合と、残りの元金に対して何パーセントといった金額に設定されている場合があります。繰り上げ返済を何度も行うとそのたびに手数料が必要になるため、繰り上げ返済を行う回数は必要最低限に抑えることが大切です。

・低利回りの収益物件の場合はレバレッジ効果が低くなる
利回りが低い収益物件の不動産投資ローンの繰り上げ返済を行った場合、自己資本比率が高くなり、せっかくのレバレッジ効果が薄くなってしまいます。繰り上げ返済を行う自己資金がある場合には利回りの低い収益物件の繰り上げ返済を行うより、高利回りの収益物件を購入するための頭金として手元に置いておくほうが無難であるといえます。

繰り上げ返済を行う最適なタイミングとは

繰り上げ返済を行った場合、その金額で借り入れている元金を減らすことができるため金利を安く抑えることができ、結果として金融機関への支払総額を低く抑えることができることは前述しました。このシステムを一番有利に働かせることができるのは、借り入れを行った初期の時点です。金融機関から5,000万円を2パーセントの金利で借り入れた場合に、1,000万円を借り入れから10年後に繰り上げ返済した場合と、20年後に繰り上げ返済した場合の返済総額の差は以下のようになります。計算は元利均等払い、毎月の返済額を軽減する方法で計算しています。

繰り上げ返済の時期

金融機関への支払総額

支払い総額の差

繰り上げ返済無し

69,564,969円

 

借り入れから10年後

66,849,390円

-2,715,579円

借り入れから20年後

67,981,808円

-1,583,161円

このように総返済額は繰り上げ返済を行うタイミングによって大きく違いが出てくるため、手元資金に余裕がある場合には、早めに繰り上げ返済をおこなったほうがメリットは大きいといえます。繰り上げ返済を行うのは不動産投資ローンの借り入れを行ってから早い時期が最も効果的ですが、そのためには十分に手元の資金を持っておく必要があります。従って入居者が増え、それに伴って利回りが想定以上に良くなった時点で手元に資金をプールしておき、その資金を利用して繰り上げ返済を行うとよいでしょう。そのためには、空室率が低い収益物件を購入することが重要です。このような方法で繰り上げ返済を行うことで、手元の資金にゆとりを持たせながら繰り上げ返済を行うことが可能になります。

まとめ

ここまで繰り上げ返済のメリットとデメリット、繰り上げ返済のメリットを十分に活かすことができるタイミングについて解説してきました。繰り上げ返済を上手に活用し、金利の支払い分を減らすことで手にすることができる利益を大きくしたり、返済を早く終わらせてその物件を担保としたりすることで2軒目、3軒目と収益物件を増やして、安定した収益を上げることができる不動産投資を行うようにしましょう。